ニャーニャット

この世界の片隅にのニャーニャットのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
3.7
日本史上もっとも大きな物語が支配した時代に小さな物語を描く。

『火垂るの墓』と『ホーホケキョとなりの山田くん』を足して2で割ったような映画。

今までこういう気持ちから戦争の暴力性に虚しさを覚えたことはなかった。

なんか戦後70年がすぎて、日本もいい意味でクールダウンしてきて、一方で戦争が風化して再び戦争の機運が高まるんじゃないかというそこはかとない不安に包まれたこの時代だからこそ、生まれる必然性をもった映画だと思う。

それまでの戦争映画にありがちだったいわゆる頭ごなしの反戦映画とは違う、大惨禍の中にもそれぞれの尊い生活や人生があって、ただその人生も否応なく戦禍に惑わされて、そういった入れ子構造が頭の中でぐるぐるする。


すずさんが玉音放送を聞いてる時に思わず発した言葉が忘れられない。