ニャーニャット

アイズ ワイド シャットのニャーニャットのレビュー・感想・評価

アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)
3.9
10年ぶりくらいに鑑賞したけど、結婚してから観るとちょっと印象が変わるね。
ポランスキーとウディ・アレンを足して2で割ったような作品だなあと。

オープニングのニコール・キッドマンがトイレしてるシーンとか大学生の時に観たときは「すげー、ニコール・キッドマンがオシッコしてる!」くらいにしか思ってなかったけど、アレは用を足してるところを見せられるくらい夫婦(家族)関係が円熟してて、逆に男女の関係が下火になってきている関係ってことなんだよね。すごく端的に2人の関係を表す重要なシーンだったんだなと今更ながらに気がつく。
また、トム・クルーズの以前ほど妻に性的興奮を覚えなくなってきたけど、妻の不貞にはイライラ、ムラムラして、自分も少し火遊びに色気が出てきてるそうい絶妙な塩梅の役柄がよく似合うんだよね。娼婦の家で妻から電話をもらっただけでカッコつけながら退散してしまうチキンっぷりもすごいトムっぽい。結局あの夜、何も決定的なことはできてなくて、一人相撲であたふたしてるだけなんだよね。

初めて観た時と印象変わらず、秘密結社の儀式&乱行シーンは素晴らしい。このシーンがおぞましく、美しく、恐ろしく、魅惑的にならなければ、後のトム・クルーズのパラノイアに説得力を持たないからね。
ただ、全体的に観るとキューブリックの他の過去作に比べると少しショットや編集に隙がある印象。ただ、逆にもっと演出に隙を持たせて、肩の力を抜いたほうが、この作品のもつ可笑しさが出て良かったんじゃないかなぁとは思う。ウディ・アレンほど洒脱にのびのび撮れず、ポランスキーほどの編集の巧みさもない少し中途半端な感じは否めないけど、なんか10年目くらいの夫婦間のリアルがすごく楽しくも興味深く表現されてて、また、ニコール・キッドマンの最後のセリフにすべての真実が込められてる痛快さも含め、僕は今回見返してすごく好きな作品になった。