まず、オープニングの強盗シーンの演出がスマート。強盗がクルマで逃走するシーンでペンキを持った子どもにパンして、一瞬静けさが訪れるけど、さらにパンしていくと乗り換えられた逃走車が飛び込んでくる。非常に凝った、効果的な演出。
警察無線の音声がないと、今のが銀行強盗だったのかわからないくらいなのがまた面白い。
フォレスト・タッカーの強盗の手口がスマートで紳士的すぎてもはや「強盗」と言えるのかという笑 銀行でお金盗むのって悪いことなんだっけ?って勘違いさせる清々しさ。
ロバート・レッド・フォードの屈託ない笑顔がまた魅力的なんだ。
全然テイストは違うんだけど、ニコラス・ウィンディング・レフンの「ブロンソン」を観た時のようなカタルシスがある。
善悪を超えたところにある人生の魅力に気づかせてくれるというか、なんか、肩の荷を下ろしてくれるような気持ちよさが心地よい。
そして、二人がブレストレットを買いに行くシーンがもっとも素晴らしい。間違いなくそこには映画にしか表現し得ない美しさと豊かさがあった。共感し得ない価値観の大きな隔たりとそれを飛び越える愛。熟年の2人でその愛がプラトニックなだけに、より輝いて見えるのね。
こういう瞬間を観るために映画を観てるんだよなあという至福な時でした。