柏エシディシ

イコライザー2の柏エシディシのレビュー・感想・評価

イコライザー2(2018年製作の映画)
4.0
腐った街に舞い降りた黒い守護天使、ロバート"The Eqaulizer"マッコールが帰ってきた。

所謂ジャンルムービーってやつですけれど、自分は今年ベスト10級に好きになってしまった一本。
ナメてた続編が傑作だった案件!

「ナメてた相手が実は殺人マシンでしたムービー」(©︎ギンティ小林さん、パンフレットの寄稿最高!)の傑作たる1作目も大好きですし、「完璧だった1作目と比較して、、」という論説もチラホラありますが、自分は本作断固支持。

前作終盤のエクストリームな展開を引きずるようなアヴァンタイトル(暗転からのタイトルコールの斬れ味!)で先制パンチを繰り出しながら、その後の展開で目を引く、ロバートマッコールの日常の丁寧な描写。
特に、アクションも台詞もなく、タクシー運転手たるMrマッコール(マイルズと同様、敬意を込めて呼びたい)が乗客達の様子を見守る様に観察するシークエンスが、とてもイイ。
それぞれデンゼルワシントンの小さな表情の変化で心の内を仄めかす演技が秀逸。
申し訳ないけれど、凡百のアクション俳優じゃコレは出来ない。
そして、この一連のシーンがあるからこそ効いてくるヤッピー成敗シーンと刺客襲撃シーンの爽快感と衝撃度。
このon.offの落差、緩急の妙が映画的快感でもあり、人物描写の深み広がりにも効果的に機能していると思います。

そして、「ムーンライト」のアシュトンサンダース演じる青年との交流。「お前は本当の死を知らない」と凄むMrマッコールの狂気にも通じる怒りと悲しみ。
本筋とは一見関係ない老紳士のエピソード。終盤の顛末に至り、そうか彼は人々を救う事によって、自分自身を救おうとしているのだ、と思い至り涙するしかなかったのでした。
誰だって、個人的な過ちや悔恨の念で狂気に陥りそうな自分と、それを律して真っ当に生きようとする自分が心の中で常に葛藤しているのだと思う。
一見、狂気すら孕んでる様に見えるMrマッコールは、わたし達観客の分身に他ならない。
ただのアクション映画のエクストリームなキャラクターというだけでなく、そういう血の通った人物としてロバートマッコールを創造したデンゼルワシントンとアントワンフークアに敬礼。

もーね、毎週夕方5時からTVドラマ「イコライザー」がやってたら録画して欠かさず観ちゃうと思うぐらい大好きになってしまいました。
毎週、悪党どもに制裁を加え、読書し、迷える若者たちに説教をかますMrマッコールが観たい。せめて、「3」の製作をば!
柏エシディシ

柏エシディシ