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ハッピーアワーのyukoのレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
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この作品の物語のすごさというものにはもちろんなのだけど、そこでずっと生活してきて、当たり前にいろいろあるひとたちを撮るということをしていたら自然とそこに写り込んでくる街、その情景のひとつひとつにも何度もぐっときてしまって、それが私にはものすごく良くって、何回も泣いてしまいました。そこにいるひとたちが躍動していたら、その街もさらにきらめくような気がします。

今回ぶっ通しの5時間上映の元町映画館での上映途中の休憩中、スクリーンは暗転して物語は一度停止して、だけどまわりからはさっきまでスクリーンから流れていたのとまったくおなじ温度の関西弁の話し声が聞こえてきて、とても不思議な気持ちになって、そうしてまた始まる映像を観ていると、自分もそのなかでの打ち上げの場とか、三ノ宮駅に向かうひとたちのなかにいる気持ちになってくる。物語もさることながら、二度と訪れないその瞬間の神戸の情景が私の頭に焼き付きました。

皆んな当たり前にいろんな側面があって、今までに自分がみたことのない角度からそのひとをみたら想像もしていなかったことを思っていたりして、それは自分をぐさりと突き刺してくるくらいにとても魅力的で、そういうものをみせることに関して濱口監督は天才的だなと思う💭
そんななかで特に好きな場面は、あかりが職場の病院の屋上で、煙草を吸うところ。
自分がこの映画が好きだと思うとき、この場面がめちゃくちゃ好きというところが必ずあるなと最近つくづく思うのだけど、この作品にもやっぱりそれはあって、そんな場面を何回でも観たくなってしまうから死ぬまでにたぶん何回でも観たくなるんだなと思う。
神戸の元町映画館で、いまの自分の歳で観れて、本当にうれしかったです。
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