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aftersun/アフターサンのyukoのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
3.7

ベランダで煙草を吸ってる後ろ姿と、ひとりで号泣している後ろ姿、ツアーのバスの車窓からの風景が私のなかにはくっきりと残りました。だけど普段の生活のなかでこれからまたぽつぽつと違う場面をじんわりと思い出しそうでもあり、もしくは日焼け痕みたいにひりひりとしてくるのかもしれないです。

劇中のホームビデオの映像とおなじくらいの接写がたくさん、その近さのお父さんの後ろ姿をみてると子供の頃に日常的に嗅いでいた、煙草と体臭の混じった匂いが自動的に思い出されました。だけどスクリーンのなかの世界は自分が一ミリも経験していなくて、これからもなくて、そういうものをとても個人的な匂いというものを感じながらみてる不思議な感覚💭(誰かが言っていた、映画は自分が絶対に経験できないことを経験させてくれるもので、それが自分にとって映画を観る理由のひとつだということを思いました。)

ソフィがカラムと同じ年齢になってみるもののなかには、ソフィが11歳のときにカラムが自分のその年齢のときのことを想って何も言えなかった気持ちも含まれていること、当たり前なんだけどみんな同じように歳をとっていく不思議な感覚のこと、最後のカラムがいるどこなんだそこはっていうあの空間、光が明滅しまくってるダンスフロアにはソフィとカラムと、あと他にもたくさんの人たち、みんながいること、それらをみることは嬉しくて勇気がでることで、みているあいだは眠ってるあいだにみる夢みたいなのだけれどもまた違う、たぶん現実に存在している不思議な次元のことを思う余白みたいなものも贅沢にあるような時間でした。

この映画のことを考えていたら、自分が今まで体験してきたたくさんの瞬間がどんどん出てきていつまでも終わらない状態になりました。

自分のとても小さな経験から、自分の経験していないものへひろがっていく感覚が作品の余韻にもなって今も残っているし、みたひとのそれぞれ違う余韻のかたちを思ってさらにじんとしてしまう💭💭
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