茶一郎

ちはやふる 下の句の茶一郎のレビュー・感想・評価

ちはやふる 下の句(2016年製作の映画)
3.6
『 個人団体戦 』

 また、瑞沢高校競技かるた部のアイツらが帰ってきた!前作のチームモノと打って変わり、千早がクイーンに挑戦する個人戦、だけどチーム戦。
『何を言っているのか わからねーと思うが』この個人戦はチーム戦で、とにかくアツいんだ。

 受験期よく耳にした『受験は団体戦』。な訳ないだろ、欺瞞だ欺瞞、『受験は個人戦』だよ。と思っていたが、今作を見るとハッとさせられる。真の絆があれば個人戦も団体戦になり得るのかもしれない。

 前作を見ることは必須だが、相変わらず『かるた遊び』なんて言葉が裸足で逃げ出すレベルの、もはやカルタアクション、スローモーションによる決め画の連発。
各々の『何のために、かるたをするのか』がぶつかり合い、最終的には『かるた』という日本文化の伝播を垣間見た。
『かるたは楽しいんだ!』
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 かるたをやる目的を失った新。その様子を見て、またクイーンの存在を知り、一人でかるたをやろうとする千早。そして、自分のためにかるたをやるという、今作のラスボスに当たるクイーン。それぞれの『かるた』がアツくぶつかり合う。
 とにかく、クイーンを演じた松岡茉優さん絡みのシーンは全部良い。天才の佇まいと振る舞い、『団体戦がお遊びだったってみんなに言わせたるわ』から今作の悪役の立ちっぷりがビンビンに。

 前作の衝撃っぷりから、ややウェットに、どうしてもお話の収束をするため仕方がないが、語り口は駆け足な印象。主人公の知恵熱がチームの戦い描写をスキップする役割しかなく、彼女が欠けたチームにとっての障害になりえない。前作のロジカルに掴んだ勝利とは一変、結局、精神論かよ、と首をかしげる。(野暮すぎる不満)

 兎にも角にも、前編、後編とアツイ、アツすぎる、その軸はぶれていない。前後編2部作の邦画でも、単体でここまで満足度を高く作り上げられるということをアツく証明し、瑞沢高校競技かるた部は青春映画におけるチームに名を刻んだ。
こんなこと書いている内に、またアイツらに会いたくなっている。もう彼らは成長して行ってしまった。が、カルタ、友情、チーム、そこに世代を超え脈々と受け継がれるモノがある。
茶一郎

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