茶一郎

ペットの茶一郎のレビュー・感想・評価

ペット(2016年製作の映画)
2.7
『犬は飼っても飼われるな』
 
 もう、動物が自動車を運転する時代になりました。
 『人間がいない間に◯◯』、また、いがみ合っている二人のバディモノと聞くと「トイ・ストーリー」、動物たちの街での冒険、主に保健所からの逃走は「わんわん物語」を連想。だが、一度、イルミネーション・エンターティメントがこの二つの要素を掛け合わせると、語り口の異常な速さを介して『混沌』・『狂気』さえ感じる、おおよそ上映時間90分の半分も経っていなかったのではないかと思わせるような作品が出来上がってしまう。

小動物が人間:飼い主を『殺せ』『死ね』(セリフそのまま)と言い放ち、小型犬がウインナーを食べて幻覚を見たり、ストーリーによってキャラクターの性格が豹変したりする様には、頭を抱え込むしかなかった。
「怪盗グルー」「ミニオンズ」からそうだったが、しっかりとストーリーを把握しようとすると頭がおかしくなるから、自然と頭が真っ白になる。やおら映画が終わり、劇場を出る時のこの感覚は『爽快』と言っていいのか……
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 『動物たちよ立ち上がれ!お前たちは飼われるべきではない!』『飼い主は殺せ!』とペット反対、動物奴隷化反対もしくは人間・動物共存反対を謳う小動物、集団の登場。冒頭の穏やかなムードからいきなりの彼らのセリフの過激さを見て、劇場にいる子供の目を気にした。良くも悪くもイルミネーションの毒っ気は凄すぎる。

 (しなやかとは違う)常に強い側に寄り添い、自分の居場所が危うくなったらイジワルして邪魔者を貶める。さらに、調子こいて偉そうに弱い者に命令。マジかよ、マックス最低だな。ちゃんと謝ったのか、お前。
というよりそもそもですが、飼い主側である人間(作り手側)が、動物の『人間に飼われたくて、飼われたくてたまらない』様子を描くことは倫理的どうなのか?という疑問、上述の『小動物』の歪な描写によりこれが、強調されているようでモヤモヤ。(小動物の最後の扱いも含めて)
また、ストーリーが、移民の街である『ブルックリン』で行われるのですから余計に。

 音楽のアレクサンドル・デスプラは相も変わらずイイ仕事っぷり。
 ちなみに、私は金魚を飼っているのですが、帰宅すると金魚ちゃんたち『何もしてねー』みたいな顔で口をパクパク、餌を要求しておりました。
茶一郎

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