ねーね

或る終焉のねーねのレビュー・感想・評価

或る終焉(2015年製作の映画)
3.0
『終焉』の形は、人によって様々である。そして、それがいつ訪れるのかも。

主人公のデヴィッドは、終末期の患者をケアする、在宅看護師だ。
彼と患者の間のやりとりがメインになるのだが、これはよくある『お涙頂戴もの』では決してなく、むしろ冷酷ですらあると私は感じた。
なぜなら、本作のテーマは『終焉』そのもの。
誰それの命を奇跡的に救ったとか、家族に感謝され手を取り合って喜びあうとか、死は悲しいけれど前へ進もうとか、そんな都合のいいお話ではないのだ。
映画みたいなミラクルは起こらない。
ただ、人生は不条理だ。

定点から動かない独特の長回しカメラワークは、生きたくても生きられなくなった人たちの、やり場のない悲しみと怒り、
それをなす術もなく見守ることしかできない私たちの虚しさを、
不気味なほど静かに、剥き出しにする役目を担っていたように思う。

生きたいと望む者、死にたいと願う者、
そしてそれを決めることのできる者、
それを目にしたとき、私たちは何を思うのでしょう。
この映画に答えはないけれど、監督の見せたかった『終焉』が辛くもひしひしと伝わってくる、秀作でした。
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