オチが有名過ぎてまさに"猿の惑星状態"となっている名作ホラー映画「シックスセンス」を撮り上げ注目されながらも、「サイン」以降みるみる評判を落とし「小手先だけの没落監督」の名をほしいままにしたMナイトシャマラン監督。
「ヴィジット」公開時には「信じてくれ！今度のシャマランは本物だ！」などというなんだか失礼(?)な宣伝ページが印象的でしたが、この映画を観終えた後は本当に「シャマラン、遂にやってくれたな！」といった程に上手な秀作ホラーでした。やっぱりこの人は意味深なハッタリや設定の風呂敷広げをやり過ぎない方が性に合ってるのでしょう。
・周到に張り巡らされた伏線(物語の謎に関しては丁寧過ぎて気づく人もいるでしょうが)
・まともじゃなさを前面に押し出した異様な緊張感のあるホラー演出(緊張感を出すのは「アンブレイカブル」の銃シーンを始めシャマランの十八番ですね)
・定番のどんでん返しも健在(今までと違いダンカン・ジョーンズ監督作のような使い方をしてきたのは斬新)
・姉弟のトラウマと成長にフォーカスした秀逸なイニシエーションもののプロットに感動
などなど良い点を挙げればキリがないですが…一番押したいのは、"この映画がPOV形式である事に丁寧に理由付けがなされている"点です。
制作のし易さや手軽に臨場感の演出が出来ることから近年量産されがちなPOV映画ですが、
「なぜこの映像はPOVである必要があるのか(演出上ではなく物語上の必然)」・「なぜこの映像が編集されこうして観れる状態になっているのか」
という2点はジャンル全体で今まで仕方が無い事としてあまり触れられず無視ばかりされていた現状に、自主制作出身のシャマランがベテラン監督風を吹かせ、考え抜かれた設定とラストの展開により風穴をブチ開けた映画だと思います。お見事！
