にっきー

私、君、彼、彼女のにっきーのネタバレレビュー・内容・結末

私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

シャンタル・アケルマン監督にとって長回しは、何なのだろうかなと考える。どういう目的で行っていたのかと、多用に執拗に。
一般的に、長回し撮影は場面に緊張感をもたらしますよね。魅入ってしまう。個人的に長回しってスゲエ、と思った最初の作品は、相米慎二監督の『魚影の群れ』(1983)。私が魅入ったのは、マグロの一本釣りの方も凄いけど、雨の中を十朱幸代を緒形拳が追う場面。旅館の2階からの逃げる追う逃げる追う追いつく降参−−−。見ている方も参りました。

話は戻って。でもシャンタル・アケルマン監督の作品の長回し群(私が見たのは『ジャンヌ・ディエルマン〜』『オルメイヤーの阿房宮』とこの作品の3本=現時点でですが)に特に魅入ってしまうような緊張感は感じないものの、妙な、ふと妙な注目を向けてしまうような、向けざるを得ないような、ものを感じるんです。街の中で、意識せず他人と偶然に目が合ってしまったがごとくの。砂糖をひたすら食べるシーンも、見ちゃうわけです。おいおい血糖値大丈夫かよって普通だったらツッコむところですけれど、「……」と、見ちゃえるわけですよ。まだ掴めません、アケルマン監督の面白さが何なのか、うまく言葉で表現できずにおります。

ところで、タイトル『私、あなた、彼、彼女』の「あなた=君」って誰なんでしょうかねと、これもふと。見終わった余韻であります。
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