にっきー

第七のヴェールのにっきーのネタバレレビュー・内容・結末

第七のヴェール(1945年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

もうこれはですね、「エースをねらえ!」のピアノ編ですよ、はい。「エースをねらえ!」で岡ひろみが宗方コーチに対する想い(それは恋より深いし愛であっても家族をも超えた深い深い師弟愛というね)とですね、フランチェスカがニコラス叔父さん(もとい、ニコラス固執の「またいとこ」)に対して抱いていく想いに共通性を感じました。加えて興味深いのはニコラス叔父、失礼またいとこのニコラスさんのフランチェスカに対する気持ちもですね、ストイック過ぎてもういい大人が何やってるんですか、と思うんですけど、あれですよ、「岡、愛してる×3 !」の名場面ですよ。ズキューンと来ないわけがない。とはいえ、告白してる相手はひろみじゃなくて藤堂さんなんですけどね。。。

話はズレましたが、ジェームズ・メイソン、好きなんですワタクシ。何故かいろんな賞にはあまり縁のない方なんですが、40〜80年代と長きにわたって映画に出まくっておいでな偉大な俳優さまです。そしてそれぞれの役の方がメイソンさんに近づくんじゃないか? とさえ感じる独特の立ち位置、不思議な存在感。『パンドラ』しかり『スタア誕生』しかりetc。『北北西に進路をとれ』では悪役が色っぽくはまっておいででした。そんなメイソンさんはこの映画で、主人公に対するあしながおじさん的な、光源氏の葵の上を育てる的な、ストレートじゃないけど根の太い愛を繊細に演じられておりました。ラストの、ちょっと失礼とばかりに自信なさげに杖をついて部屋を出て行く姿なんてもう。でも新フランチェスカは強かった。「逃がしませんよ、私の愛の対象は」と。よかったよかった。岡ひろみと宗方コーチ、葵の上と光源氏では無かった展開で感慨深かったです。

余談ですが、新旧フランチェスカを演じられたアン・トッドさん。誰かに似てると思ったら、俳優のエマニュエル・セリエさん。ロマン・ポランスキー監督の奥さまでもあります。美しさって時を超えるものだなあと。
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