にっきー

ハズバンズのにっきーのネタバレレビュー・内容・結末

ハズバンズ(1970年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

観終わって、冒頭の写真群を思い返す。スチュアート在りし日の4家族ぐるみでの瞬間ショット。あの力拳。強いんだぞ、お父さんは〜の刹那。

でも映画タイトルは「Husbands」であって「Fathers」ではない。

これは単に「中年の悲哀」とか、ミッドクライシスを描いているだけなんだろうか。しょーもないおっさんズの悪あがきといえばそうなんだけど、でもどうにも感じてしまう切なさの先の肯定感みたいなものは何だんだろう。諦めなのかな、でも同時に救い、みたいなものも感じた自分は変なのかな。

夏祭りのお父さんを思い出す。私のお父さんは真面目で繊細で、賢く働き者で、ザ・昭和な良きお父さんだったけど、一度私が幼少期の頃、なぜか馬の被り物をしていて一人ふざけていたことがあって、遠目で「何やってんのお父さん」と少し心配しながら見ていたことがあって。でも今なら、お父さんもいろいろ大変だったのね、と思ったりもする。「やめてよ、恥ずかしい」とか言っちゃってごめんなさい。

結局ハリーはどうなったんだろうと思いながらもラスト、しっかりお土産持って帰路に着く2人。

なんかグダグダな逃避物語を、途中生理的嫌悪感も引き出しながらも見せ切れるカサヴェテスって、やっぱり得難い監督だと思うんです。
にっきー

にっきー