まりぃくりすてぃ

さようならのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

さようなら(2015年製作の映画)
4.6
せつないな。さみしいな。アンドロイドがいてくれるから、さみしすぎない。けど、みんな幸せにならなきゃダメだよね。。。

黄色っぽい荒涼とした色彩ながら豊かな、どこか異国見えする草地や一本立ちの木を窓枠内におさめての、静かな綺麗部屋のターニャ(ブライアリー・ロングさん)撮り。「だけろ(だけど)」「ころも(子供)」と舌足らずっぽい日本語をつかう彼女は、声の甘さが『惑星ソラリス』のヒロインに通じてて、せつなさを強める。痩せっぽちだし。
道へ出ても自然風景はずっと感じよいが、雲や夕焼けだけは常に怖め。やっぱり原発大々々々事故後だから。
そして盆踊り~ロック、以外に大きな起伏はない映画。寄り添うアンドロイドは常に結果的に慰めてくれる。

そんな中、はしゃぐ村上虹郎さんの「アフリカ! アフリカ! アフリカ!」のとこで私、涙出た。村田牧子さんの「トルコ! トルコ!」のとこではクスッ。みずみずしさや軽やかさを軽んじない深田監督ならではの、成功魔法。
一方、恋人サトシ役・新井浩文さんのよそよそしさと硬さがはたして最適演技だったかは疑問。それと避難抽選もれの男性の騒ぎ方は芝居臭くてイヤ。

恋人におんぶされたターニャの「こんな時だけど、、」の後の台詞はまったく私の予想通りだった。日本の女性同士で結婚バナの時、そろそろ互いの顔を見合ってよと思ったら即、村田さんが相手を見た。終盤、アンドロイドとターニャとのスキンシップがそろそろ欲しくなったら、ちゃんと実行あった。
そんな感じで、私の望みをつどつど小さく叶えていってくれた映画。
ただ、最後だけは、、、アンドロイドが竹林の前で泣けばもっとよかったのに。涙なしでも泣き声だけ上げてほしかった。学習成果としても。
その前の、臨終の詩(よっちゃんとか五郎くんが出てくる)は誰の作だろ?
とにかく、みんな幸せがいい。。