総じて古臭い。大塚寧々母子との距離感の表現だとか、刑務官たちの休憩室での会話だとか、披露宴で食事に手をつけない件りだとか、ホント信じらんないくらい古臭い。けど、その古臭さが短所になっていない。
時間軸の交錯のさせかたなんかもすごく無愛想だけど、それがかえって斬新に感じられたりもする。西島秀俊のキャラ造形もかなり打算的だが、柏原収史のことを「香水のきつい奴」と言わせたり、小林薫に贈る似顔絵の新婦の件りだったり、ちょっとドキッとさせるような仕掛けがあったりもする。重いテーマを淡々と描くモチーフあってのことかもしれないが、案外じっくり計算されて作られた映画なのかな、という気もする。
山梨の田舎の風景は映画の雰囲気にはマッチしているが、『おくりびと』ほどの味わいはない。