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永い言い訳のmakiのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
3.7
身近な人や愛する人と、どんな別れ方をするかは分からない。
失ってから気づくこと、気づくまでにかかる時間、気づき方は人それぞれだけど、
少しでも幸夫くんのように、自分を肯定するための言い訳を自分で積み重ねることのないように、
身近なもの(他者)を大切にし生きていきたい、と思う。

子供たちの世話をする幸夫くん(「さちおくーん」という響きと、漢字に、くすっと笑ってしまう)の様子が、
決して下手ではないけど、こなれてもいない、絶妙なぎこちなさがあって、素晴らしかったし、
小説家(夫)と、夫の髪を切り続けてきた美容師(妻)という夫婦の設定が、とってもよかった。
表面的に言葉は操れても、自分の心は操れていない様子、その日を境にいつも整っていた髪が伸び続けるという、言い訳を積み重ねた時間の経過。
ただ、ほんのちょっと、うまく言葉にできないけれど、全体を通して滑稽な空気感があって(確かに幸夫くんは滑稽だけど)、それがなんだかずっと引っかかるところがあった。
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