Kevin

13時間 ベンガジの秘密の兵士のKevinのレビュー・感想・評価

4.2
2012年、リビアにあるアメリカ領事館がイスラム勢力に襲撃される事件が起こった。
相手は何百人いるのに対し、アメリカ側は警備兵である6人のみであり、支援の見込みは少ない。
そして地獄のような13時間が始まる...。

マイケルベイ監督らしいド迫力のアクションは見応え十分でした。
あと本作を観る前に豪華俳優陣で送るアクションコメディ【ト○○ック・○ン○ー】を観ておくとくすりと出来るシーンがあるので良ければ是非。

でも伝えたいことはそんなことじゃない。
戦争の存在価値って何なんだろう。
直接的な恨みを持たない者同士が傷つけ合って何になるんだろう。
本当に痛々しかった。どんなスプラッター作品よりも痛々しかった。
外傷的な痛みとは違う、もっと悲惨な痛みが心に伝わってきたから。
傷つける者も傷つけられる者も、互いに家族がいて友人がいて愛する者もいる。
戦争は戦い合った者たちだけに傷跡を残すだけじゃない。
死にゆく者に残された人たちはどれだけ悔しく、悲しく、虚しいことか。

それでも戦争は当分、もしくは一生無くならないと思います。誰かの“人間がいる限り戦争はなくならない”という言葉を思い出します。
頭では平和を願ってはいても、心の何処かで、人間の本能として、争いというものを求めているのかもしれない。
仮にもし本当に本能として植え付けられていたらそれに抗うことは到底困難。
ただそうでないと信じたい。
信じたい、信じたいけど、本作を観るとそんな希望も甘いものだと言われてる気がして。

本作は実話を基にした作品なのでこんなことを言っては彼らの誇りを踏みにじる様で非常に失礼ですが、この〝13時間〟はどう考えても無意味にしか思えなかった。
その時間をお前らを今必要としている者のために使ってやれよ。会えなくなってからじゃ遅いんだから。
当然そんなこと本人たちのほうが痛いほど解ってるはずなのに。
でも誰かがやらないと駄目なんですかね。
本当に戦争って何なんですかね。辛すぎます。

最後は涙が止まらなかった。
感動とかじゃなく胸が痛くて。
いつかはなくなってほしい。そんな世界をこの目で見てみたい。
Kevin

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