maverick

ザ・ギフトのmaverickのレビュー・感想・評価

ザ・ギフト(2015年製作の映画)
4.2
2015年のアメリカ映画。監督、脚本、製作に加え、主演も務めるジョエル・エドガートンの意欲作。


新しく越してきた先で、夫が学生時代の同級生と再会。彼から度々贈り物が届くようになる。若干の違和感を感じつつも、妻は「良い人」という印象を抱き、夫は気味悪いと感じる。夫婦の生活に割って入る、この男の意図は何なのだろうか。それが徐々に解き明かされて行く。

観る側の印象を利用した上手い作り。夫婦に贈り物を届けるゴードンという男は、良い人にも不審者にも見える。展開によってこの男の見え方が変化し、それが一層ハラハラさせる。ひとつひとつ真実が明かされてゆくが、最後の最後まで結末が分からない。脚本が良く出来ているのに加え、役者の熱演が面白さを底上げしていて見応えがある。評価が高いのは知っていたが、なるほどなと納得であった。

ジョエル・エドガートンの演技は素晴らしく、展開による印象の変化をしかと表現している。過去に苦しむ被害者にも見えるし、サイコパスな男にも見える。この男は何者で、何が目的なのかが最後まで分からないのが面白い。夫とこの男の間で振り回される妻を演じるのは、『それでも恋するバルセロナ』のレベッカ・ホール。精神的に追い詰められてゆく様が痛々しく可哀想だった。


加害者側は覚えておらず、それをさほど気にも留めていない。だが被害者側はずっとそれに苦しむ。それによって人生を狂わせられたのだから。社会や人生での理不尽さを考えさせる内容なのが良い。物議を醸す描き方のラストではあるが、あれは恐らく「やってない」方なんだろうな。そうでないと救われない。
maverick

maverick