オレオレ

バービーのオレオレのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.0
2023年の話題作、バーベンハイマーの片割れ、バービーも見てみた。
多少の説教臭さは否めないものの、まあこんなもんでしょう、という感じ。
ただ、公開時、ピンクの衣装で女友達と何度も見に行く女性観客が話題になっていたが、何度も金払って見に行こうとは思わん。
サブスクに下りてくるまで待ってられたんだし。

バービー各種(スタンダード、医者、大統領、ノーベル賞受賞者など)が仕切るバービーランドのスタンダードバービー(M.ロビー)。
寝ぐせ一つない頭で起き、ベッドから両方を揃えて立ち上がるその足は完璧そのもの。ヒール履いてなくても踵は宙に浮いてるのが当たりまえ!
ピンクのオープンカーでヤシの木の生えた通りを運転し、夜は「ガールズナイト!」(毎日)の世界。
このピンクのミニスカートで着飾った若い女がたむろする図、アメリカの大学にあるソロリティ(女性社交クラブ)やろ、現実じゃん、と思ったが、誰も突っ込まないのかね、そこは。

バービーには友達以上彼氏未満の飼い殺し、ケン(R.ゴスリング)やケンの友達とかいうアレン(M.セラ)もいるが、完全に脇役。
アレンなんてキャラ、知らなかったが、開発意図が全く分からない人形で、M.セラにありがちな「俺ってどういう立ち位置?!」的な役をここでも演じていて笑えた。
バービーはおろか、着せ替え人形さえ持っていなかった私にはわからないが、映画中に出てくる「アレン」はじめ背中にテレビがついたバービーやウンチする犬とかシュガーーダディケン(!)、ホントにあったのかなあ・・・。

ある日、ピカピカでピンクの完璧な世界では浮いているはずの踵が地面につき、スカートをめくるとセルライトを発見するバービー。
まったく意味がわからない彼女は丘の上にすむヘンテコバービー(K.マッキノン)に相談しにいく。
このヘンテコバービーってのが、子供がよくやる、人形の髪の毛をハサミでぐしゃぐしゃに切り、乱暴に又裂き状態にされたバービーでウケる。
やるよな、子供って!顔にも髪にもペンで色が付けられてたりしてオカシイ。常に開脚で立ってるし!
ヘンテコバービーいわく、人間界での不具合がバービーランドの完璧な世界に影響を与えているとかなんとかで、人間界に行ってバービーの持ち主に会わないとセルライト取れない!らしい。
バービーランドに整形外科医バービー、エステシャンバービー作ればいいんじゃないのかと思うが、そうなると映画はそこで止まるので、マーゴットバービーは金魚の糞ケンと一緒に人間界に行く(ベニスビーチが入口!)。

人間界では、「男であるだけで仕切れる!」とケンが気づいてしまい、そのカルチャーをバービーランドに持ち込んでしまう。マーゴットバービーが持ち主の母娘(A.フェレラ)とバービーランドに戻った時には野郎ランドができているんだが、筋肉質のケンたちが半裸とカウボーイハットで闊歩、馬の写真があちこちに掲げてあり、見る映画は「ゴッドファーザー」。いや、「ゴッドファーザー」は名作だってばよ。特にパート2,と野郎気質の私はゴッドファーザーのいじられ方においおい、と思うが、バービーの見る「高慢と偏見」(キラ・ナイトレイ版)も好きなんだよな・・・。
とまあ、自立していたはずだったバービーたちが、ケンたち男に従属するホステスみたいな世界になっていて、これはいかん!と女性の自立を思い起こさせていくマーゴットバービーたち。

そう、後半はとくに「男とは」「女とは」みたいなフェミニズムが語られていくのでちょっとうざい。
まあ、ファンタジー世界とリアル世界を混ぜたらそういうストーリー展開になるのはしょうがないけども。
結局、個性とは、理想とは、志とは、みたいな大団円にもって行くしかないんだが、野郎世界といえども男だってしんどいんだよな、ってのを見せてもよかったのでは?
男にしか兵役を課さない国も多々あるし、食い扶持稼ぐのは男、って暗黙のプレッシャーもあるし、なんなら、男ならゴッドファーザー7回は見てるだろ!的な前提さえ・・・

衣装とプロダクションデザインは完璧で、ピンクの世界、プラスチックや塩化ビニールの世界がうまくできている。
M・ロビーもドンピシャなキャストだと思うし、R・ゴスリングのプラスチックすぎる容姿もそれはそれで現実味がなくて良い。
賞レースで何か受賞するとは思わないけど、プロモーションの上手さもあってあれだけ話題になったのはさもありなん、って感じだった。