トマト

ノクターナル・アニマルズのトマトのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.0
成功を納め、望むもの全てを手にしていながらも「幸せじゃない」と満たされない日々を送っていたスーザンに、エドワードから〔スーザンに捧ぐ〕と付された[夜の獣たち]が届く。

かつてエドワードから[夜の獣]と呼ばれていたスーザンにとって、このエドワードからのメッセージの意図とは?
それはスーザン自身に、そしてスーザンのフィルターを通して[夜の獣たち]を読む(つまり観ている)一人一人に委ねられているようだ。
今、あなたはどちら側の人間ですか?
現実世界を生きていますか?
不条理な世界を楽しんでいますか?と。

エドワードを裏切り、冷酷な仕方でハッサンに乗り換えたスーザン。今度はハッサンからエドワードへ乗り換えるのか?
スーザンからの「火曜日に会いたい」というメールを受け取ったエドワードの『なんだ、スーザン!君は何も変わっていないのか?!』という高笑いが聞こえてくるようだ。

『作家は、自分のことを書くもんだ』と主張していたエドワード。「守るべきだった!妻と娘を!阻止すべきだった!そうすれば2人を失わずにすんだ...」という(小説内の)トニーの慟哭がエドワードの気持ちを代弁するものであるとしたら、すでに過去形。

エドワードは[夜の獣たち]を試金石として、スーザンの前に置いた。
取り残されたスーザン。まさに『失ったものは二度と戻らない』
自分自身の行動によって導き出された当然の帰結を噛み締めるしかないスーザンに同情の余地はないな...と思った。