maverick

時間離脱者のmaverickのレビュー・感想・評価

時間離脱者(2015年製作の映画)
4.3
2016年の韓国映画。『猟奇的な彼女』のクァク・ジェヨン監督によるSFスリラー。本国では初登場1位となり、スマッシュヒットを記録した。


いかにもB級映画っぽい邦題とジャケット。評価の高さに釣られて鑑賞したが、なるほど確かに面白い。脚本が秀逸で、どんどん物語に引き込まれてゆく。細かいところまで伏線が張られており、それに気付くとさらに楽しめる。ラストは驚きで思わず声が出た。何度も観返したくなる優れた作品だ。

事件を解決するために、過去と現代とで二人の主人公が奮闘する話。1983年と2015年が絡み合う。それぞれの時代を反映させた描写も見所だ。

過去と現代、それぞれの主人公を演じるのは、『建築学概論』のチョ・ジョンソクと、『怪しい彼女』のイ・ジヌク。ヒロインとして一人二役を演じるのは『箪笥』『あなたの初恋探します』のイム・スジョン。本作の中心的人物は彼女が演じるこのヒロイン。最初はそれほどでもなかったのに、どんどん彼女の魅力に引き込まれてしまう。可愛らしくてめちゃくちゃ好きになってしまった。過去と現代とで、微妙な役柄の変化を表現しているのも見事。素敵な女優さんだ。

タイムリープものであるが、過去と現代を行ったり来たりするのではなく、時代の異なる二人が協力して結末を変えるという展開に面白味がある。謎を解決するミステリー仕立てだが、クァク・ジェヨン監督らしく淡いラブストーリーとなっているのも良い。邦題も日本版ジャケットもどちらも作品性が表せておらず、本作の価値を損ねてしまっているのは非常に残念だ。


犯人の描写は今一つ。演出にも突っ込みどころがあったり、全体的に地味だったり。その辺りがスマッシュヒットで終わってしまった理由かなと。でも主軸の話の作りは本当に良く出来ている。伏線もあちこちに張られているので、観返すほどに楽しみがある。タイムリープ×ラブストーリーとしてお勧めしたい一本だ。
maverick

maverick