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ブルーに生まれついてのan0nym0usのレビュー・感想・評価

ブルーに生まれついて(2015年製作の映画)
3.8
ジャズは夜の音。
月明かりの青を想起する。
青はジャズの色。
ブルージーと呼ばれる由縁。
それを感じられる良い作品でした。

チェット・ベイカー。
とても不器用で、寂しい人。

その弱さや寂しさが、聴く者の心に触れる官能的な音になるんでしょう…誰しも同じように、何かを抱えているから。

揺らめく紫煙と仄かに漂う哀愁が重なって見える。自分を消して、その場の雰囲気に溶け込んでいく…聴き方として、音に身も心も委ねるみたいな…浮遊感のある音楽。

彼がその音に至るまでを描いた作品。
イケイケな前半とは明らかに音質が違う。
その再現性も素晴らしかった。

薬やジェーンに依存する姿が痛々しい。
苦しみ踠いて、何かに縋りながら、それでも彼には悲しいぐらいラッパしかなかった。

印象的なのが、ジェーンと実家に戻った際の会話にあった台詞。

「ラッパがあった…それとラジオも」

彼の原風景の中で、拠り所であったもの。
だからこそ、Born to be Bleuって題名が沁みる。そうして育ったって背景を思うと…切なくて涙が堪えられなくなった。

ホントにバカな人だなぁ…って。

でも、そのひたむきさに憧憬さえ感じる。
私もバカのままでいたかったな…
おクスリまではしたくないけどね(´-ω-`)

私は本当に音楽に関しては雑食です(^_^;)
一時期、聴いてましたけど…ジャズはまだ早いなってのが、正直な感想。無理に聴いてても、大人に憧れる子供みたいで…逆にハズいなーって😅

今作のおかげで、少しは味が解るようになれたかな?渋みとか苦みとか…ちょっとは味わえるぐらいには成長してるはず(謎)

静かに過ごしたい夜。邪魔しないで寄り添ってくれる旧知の友みたいに、語らなくてもいい心地よさ。そんな風に聴けるようになりたい。

また何年か後に、もうちょっと侘び寂びとかが理解できるようになってから、また観てみたい。感じ方も変わるんだろうな…

私はまだBorn to be Wildでいいや(*´꒳`*)
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