掃き溜めくん

アメイジング・ジャーニー 神の小屋よりの掃き溜めくんのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 序盤、主人公がアル中の父親から暴力を振られて、殺鼠罪をお酒の瓶に注ぐところからすでに悲しい気持ちになったのだが、その後も主人公の不幸が続き、信仰とは?神とは?と問いたくなる内容だった。

 主人公の子供たちが乗っているボートが転覆し、それを主人公が助けに行っている間に末娘を変質者に誘拐されて殺害されるというかなり辛い展開で、鑑賞中はずっと心にズンと重いものが載っている感覚だった。「神を信じていたのに、娘は救われなかった」と絶望する主人公の気持ちは痛いほど伝わった。

 今作に出てくる三人の神は、おそらくキリスト教の父と子と聖霊の三位一体の神を指しているのだと思う。黒人女性が創造神、中東男性がイエス・キリスト、日本人女性が聖霊という感じで表現されていて、これは面白いな〜と思った。
 途中、主人公があまりにも不憫すぎて、(神様残酷すぎない?)と思ったりもしたが、神というものは人間を愛し、万能でありながらも、人間の罪に介入することはあえてせず、罰することも無いということを伝えたかったのかなと感じた。三位一体の神は、犯罪者も主人公家族も等しく愛しており、それ故に人間同士赦し合うことを求めているのだが、実際はそんなことなかなか実現しないので、一個人としては現実離れした奇跡の物語として消化してしまった。
ただ、主人公が神に救われた結果、家族たちと対話して前に進む終わり方は救いがあって良かった。