メル

マダム・フローレンス! 夢見るふたりのメルのレビュー・感想・評価

3.5
音痴だったけどカーネギーホールでリサイタルを開いた実在のフローレンス・ジェンキンスをモデルにした、こちらはアメリカ版。

これより1年前にフランス版が上映されていて、同じ様な時期に同じ題材で作品が作られる不思議。情報が流れて「そうだ、面白そうだからウチでもこれで映画撮ろう!」となったのでしょうか?

どうしても仏版と比べてしまうが、こちらの方が事実に則した内容になってるみたいです。
若い頃に夫から移された梅毒の話(その治療薬の副作用で音程が…)や、伴奏者のピアニストが後にボディービルダーになるとか、コール・ポーターが彼女を気に入ってたとか。

世界大戦終結の前年なのにジャズで踊りまくるパーティーや、カーネギーホールに詰めかける社交界の面々など、当時のアメリカのエネルギーを感じさせます。そして、オペラのアリアと対照的にアメリカ発祥のジャズがあちこちに流れます。

メリル・ストリープは言わずもがなですが、女性をおだてまくるヒュー・グラントがはまり役、伴奏者のサイモン・ヘルバーグも出会いのクスクス笑いから後半マダムを支える同志として存在感を発揮、愛人のレベッカ・ファーガソンも魅力的。

最後にフローレンス本人の歌声と内縁の夫やピアニストの映像が出されるのも作品に厚みを感じさせる。

夫の愛を取り戻すために歌うのでは…と結論付ける仏版に対して、戦う海兵隊員の為にカーネギーホールで…と持ってくる米版。
色々な面でエンターテイメントとして作り上げるのが上手いのですが、それが好きか、鼻に付くかはそれぞれです(笑)
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