なな

帰ってきたヒトラーのななのネタバレレビュー・内容・結末

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

ドイツの作家、ティムール・ヴェルメシュが、2012年に発表した原作を映画化した社会風刺劇。タイムスリップで現代のベルリンに現れたアドルフ・ヒトラーが、再び世間を扇動していくというストーリー。果たして歴史は繰り返すのか、示唆に富んだラストも衝撃的。

ヒトラーがもし、現代へやってきたら。。
タイムスリップ。

街を歩くだけで、人々にはモノマネ芸人と思われ、カメラを向けられる。なかなか掴めないフリーライターと出会い、引き込まる。
犬が好きな総統であったが、噛みつかれ逆ギレし、発砲。。。

生放送の政治コント番組に出演した総統。カンペを無視して貧困、失業、低俗なテレビ番組など母国衰退への怒りをとうとうと語ります。観客は大喝采。番組は大成功。

番組依頼が殺到する総統。
アウトバーン計画を持ち出して司会者を笑わせたり、テレビのせいでドイツは奈落の底だと怒りをぶつけたり、数々の発言が「面白すぎる」とネットで大評判。新聞ですら「正しいことを言う」と総統を大絶賛。

全く面白くない副局長ゼンゼンブリンクは、総統が犬を撃った映像を手に入れ、生放送で流します。総統の残虐な行為に、世間の評価は一気に下落。ベリーニも解雇されてしまいます。

サヴァツキは、ホテルを追い出された総統を自宅に住まわせます。おかげで2冊目の本を書く時間ができたとポジティブな総統。現代のベルリンに蘇った自分の話を執筆します。サヴァツキは完成した原稿をベリーニに手渡し、僕が映画化しますと言います。

著書「帰ってきたヒトラー」は大ベストセラーに。印税で動物保護に募金し、人気は再び急上昇です。総統は、フェイスブックで自分の親衛隊を募り、軍隊ばりの訓練でしごきます。

ゼンゼンブリンクは、人気回復の総統をテレビに戻しました。

認知症を患うフランツィスカの祖母は、総統を見た途端、怒りと恐怖を露わにします。「この男は家族をガス室送りにした。だまされないわ、この極悪人!」。

総統は、罪悪感を抱くどころか、フランツィスカにユダヤ人の血が流れていたことに嫌悪感を持ちます。そんな総統の態度を見て、心から失望するサヴァツキでした。

サヴァツキの気持ちに気づきもしない総統は、映画の撮影中、ネオナチの男たちに襲われて入院します。包帯姿でベッドに横たわる総統にベリーニは、「これで民主主義の先駆者として英雄になれるわ」と言います。

サヴァツキは、総統を見た公園を訪れていました。彼が倒れていた場所の落葉が焼け焦げています。見上げるとそこには「総統地下壕施設跡」と書かれた看板がありました。

総統の病院に飛び込んできたサヴァツキ。何事かと驚くベリーニに、「彼は本物だ!捕まえなきゃ!」と叫びます。廊下を走るサヴァツキを、職員たちが取り押さえます。

映画の撮影スタジオ。サヴァツキは、総統に銃を向けてビルの屋上まで誘導し、そこから飛び降りるよう言います。「怪物め」と言うサヴァツキに、冷笑を浮かべる総統。

「それなら怪物を選んだ人間を恨め。彼らの本質は私と同じだ」。サヴァツキが発砲します。総統はビルから落下しますが、サヴァツキが振り向くとすぐ後ろに立っています。総統は言いました。「私は人々の一部なのだ」。茫然とするサヴァツキ。

と、そこで撮影が終わります。2人にスタッフ達が駆けよりました。サヴァツキが銃で総統を撃ったのは、映画の中の話でした。

実際のサヴァツキは、精神に異常をきたしたと判断されて病棟に隔離されていました。拘束服を着せられた無表情のサヴァツキを見て、フランツィスカは涙を流します。

ベリーニと総統は、大勢のマスコミに囲まれていました。「彼は娯楽の可能性を高い水準にまで引き上げた先駆者です」とベリーニ。総統も満足気に微笑み、2人が乗った車は街中へ走り出します。道行く人々は、総統を見つけて笑顔で手を振るのでした。


極悪人って人との感情がずれてるんだろうな。政治力は抜群。サヴァツキのエンディングが悲しかった。。。
なな

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