らら

メッセージのららのネタバレレビュー・内容・結末

メッセージ(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

観たことがある気がしていたが、たぶん観たことあるのは「コンタクト」だった

見終わった直後は、「言語」がテーマの映画なのかと思った。同じ言葉を使って話すことができる私たちは互いを理解して団結することを可能にする武器(言葉)を持っていること、言葉ひとつで未来を大きく変えられることが伝えたいのだと感じていた。

しかし、どうにもまだ自分の理解不足を感じたので他の方の感想や解説を読んでみると、この作品のさらに強いメッセージを理解することができた。

まず、「非ゼロ和」という言葉の意味を知らないとこの作品の理解は少々難しい(わたしは知りませんでした、、)。劇中でも娘が話しているが、誰かの利益が誰かの損失にならない状況のことを非ゼロ和という。来訪者(宇宙人たち)は、この非ゼロ和を人間たちに実現してもらい、人間同士(且つ国同士)が争い合うことなく団結することによって、来訪者が人間たちに救われたと言う3000年後の未来を実現してもらいたかったのである。来訪者が地球へ来たとき、人間は来訪者の目的を知る前に攻撃体制(戦争体制)に入ろうとする。それは、来訪者が私たちから何かを得るために私たちが何かを失わなければいけないと考えたからである。この戦争体制自体がゼロ和の発想であり、人間たちはこの発想で問題を解決しようとする。中国が早々に非協力の立場を取って戦闘体制に入る描写があったが、これは現在の政治を批判する意図もあるのだろう(このまま中国の傍若無人を放置する限り、話し合いはできず平和な解決は図れません)。人間たちは「言葉」という武器を使い、非ゼロ和を実現できるという可能性を、来訪者は伝えたかったのではないだろうか(作中で中国の決断が変わったのは話し合いではなく妻の言葉でしたが、、)。

また、過去も現在も未来も等しく見えている来訪者の言語を読み取り、自身の未来が見えた主人公が運命を受け入れることについても、作品のメッセージを感じる。主人公が自身の未来を受け入れる選択をしたことから、この作品では、決まった未来に向かって私たちは選択を迫られていると言うような読み取り方ができる。しかし、時の流れが存在し、未来を見ることができない私たちは、未来に目標を持ち、その実現に向けて、どのような選択をするか考えて行動することもできるのである。
らら

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