ゆーさく

リメンバー・ミーのゆーさくのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
3.7
どんなに遠く離れていても、どれだけ時間が経っていても、誰かが自分の事を覚えてくれてるってのは嬉しい事だね。


特別真新しいメッセージじゃないけど、そういう普遍的なテーマをきっちり前振りして、ベタに泣けるように持ってくるってのもテクニックなんだろうな。

死者が現世に戻るためには、生きてる誰かがその人の遺影を飾っている必要がある、っていうのは上手い設定だな、と思って感心した。
遺影を飾るって、その人の事を覚えていて、かつ想っているってことの象徴的な行為だもんな。

ベタなメッセージもアイデア次第で面白く見せられるって事か。



「ファインディング・ニモ」が水の質感、「ラプンツェル」が髪の質感、「アナ雪」が氷の質感にこだわって製作されたって聞いたけど、
この映画で一番こだわったのって多分バアさんの肌の質感やと思う。
ラスト近くのシワッシワのバアさんのアップが、すげぇ臨場感溢れるシワッシワ具合で感動した。
死者の国のカラフルさよりも断然こっちの方が見所だわ。



充分満足出来る映画だったんだけど、でも引っ掛かるところはとことん引っ掛かる!

この物語の大前提なんだけど、
そもそも言うほど音楽禁止しなアカンかったか?っていう。

主人公ミゲルの家族が音楽を禁止してたのって「家族をバラバラにさせないため」のはずだよな。

曾曾ジイサンが音楽やるために家族を捨てたという過去があったとして、それって曾曾ジイサンを憎む理由にはなっても、音楽を禁止する理由にはならんやろ。

曾曾ジイサンが家族を捨てたのは、音楽のせいじゃなくて、曾曾ジイサン自身の人格の問題だって考えるのが普通ではないか。

音楽を禁止したって「俺は俳優になるために家族を捨てる!」とか「絵画で食っていくために家を出てく!」とかいう奴も出てくるかも知れんし。
音楽をピンポイントで禁止する意味が分からん。

家族をバラバラにしないために「子供には絶対に家業の靴作りを継がせてやる!」って言う意見だったらまだ理解できたけど。

んで結局、音楽を禁止してたせいでミゲルが家族を捨てて飛び出しちゃうでしょ?本末転倒ですやん。

なんかそのせいで、ミゲルの家族が揃いも揃って理不尽というか…阿呆に見えるというか…音楽に対して低レベルな逆恨みをしてるように見えてしまってよろしくなかった。。。


家族がお互いのためを思って音楽を禁止してる、っていう合理的な理由が欲しかったな。

そうすれば、観てる僕も、ラストシーンにかけての、ミゲルが家族を愛する気持ちに共感出来ただろうに。


音楽を禁止されてる、っていう設定をつけるためにわざとらしく用意された状況っぽく思えてしまって、ミゲルの家族が出てくるくだりは全般的に好きになれなかったわ。


ヘクターの出てるくだりは全部好き。彼の行動には筋が通ってる。彼のエピソードは涙腺にバチバチくる。

メキシコ料理店でよくかかってる感じの陽気な劇中音楽も好き。ワカモレ食いたなってくる。
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