メル

ハッピーエンドのメルのレビュー・感想・評価

ハッピーエンド(2017年製作の映画)
3.9
ミヒャエル・ハネケ脚本、監督作品。ハネケは当時75歳。

スマホの画面越しにハムスターに薬を与え殺すエヴ。
もう少しで13歳になるこの笑わない娘エヴ、彼女のスマホの画面が切り取る世界に背筋が冷たくなる。

登場人物もそれぞれに秘密を抱えていたり、自己中心的だったり不器用だったりと、経済的には恵まれていても精神的には満たされていない人間たち。

祖父と孫娘であるジャン=ルイ・トランティニャン演じるジョルジュと、ファンティーヌ・アルドゥアン演じるエヴが書斎で向かい合って話す場面は迫力あります。

あの名優トランティニャンを相手に堂々たる演技です。

「愛・アムール」を引きずる様なジョルジュの告白にエヴも友人に薬を盛った告白をするけど、1番大きな秘密は最後まで言わない。

ジョルジュの「愛あるが故の行動」と、エヴの「自己中心的な冷酷さ故の行動」の数々。

そんな事をテーマにこんな風に描けるミヒャエル・ハネケ監督の若さを痛感させられる作品でした。

「アメリ」の恋人役だったマシュー・カソビッツが変った性癖のおじさま役だったのと、エヴのTシャツの「 I ☆ JAPAN」は少しだけ笑える。
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