おさつ

ガタカのおさつのネタバレレビュー・内容・結末

ガタカ(1997年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

遺伝子の優劣で将来が決まる世界。初めの回想シーンでジャミロクワイのvirtual insanityという曲を思い出した。

曲といえば、都度都度ながれるBGMが美しいけど悲壮感ただよってて聞いててつらいよう。

ストーリーの中では、持てるもの、持たざる者、両方の苦悩を感じた。
主人公ヴィンセントの悔しさは作中通して伝わってくるし、ジュロームの酔った時の告白や、弟の『俺がお前に負けるわけがないんだ』のセリフなど。
「できないこと」はもちろん、「できること」への決めつけも苦しいんだろうな。

特にそれを感じたシーンは、再開した弟との遠泳。
波も荒ぶっているし、なんて重苦しそうな水の色だろう。
どちらの立場の人も、つらい現実のなか溺れそうになりながらもがいてるんだなと。

『戻ることなんか考えずに、全部の力を出し切ったんだ!』と進んだ先に見上げた星の美しく、遠いこと。
このシーンを見ている途中、NASAに書かれている"ペルアスペラ、アドアストラ"(困難を乗り越え星へ)という言葉も思い出した。主人公のためのような言葉だと思った。

行動を通してアイリーン、弟にもヴィンセントの努力や勇気が伝わったことが嬉しい。
さらにはドクターも気づいていたなんて!
ドクターとのアイコンタクトのシーンでじわじわ溜まった涙腺がついに緩んでしまった。

なんとも生きづらい世の中なのに、それでも人の心は変わらず暖かい。
なんと多くの人に夢を支えられてるんだろう。
きっと周りの人たちも、本当は遺伝子では決まらない未来を求めていて、ヴィンセントに夢をもらっていたんだな。

ただ、ジュロームの最期が切ない。
分けてもらった夢の最高潮で「ジュローム」を終わらせたかったのかもしれない。
本人が満足していたとしても、彼ら「持てる者」への救いの道はなかったのか、悲しくなってしまった。


p.s.
そういえば、打ち上げのために殺害して自供した上司もさりげすごい覚悟だと思う。(いいかどうかは置いといて)
夢や信念をつらぬく人たちの映画だった。

登場人物たちが、少しでも希望を感じながらその後を生きているといいな。
おさつ

おさつ