田島史也

ゴジラvsコングの田島史也のレビュー・感想・評価

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)
3.5
ゴジラ対コングと、ゴジラ対メカゴジラという2軸構成で、それぞれを行き来し、最終的に合流し、昨日の敵は今日の友展開で、ゴジラとコングが共闘する。ストーリー自体は比較的平易なものだが、ハリウッド版ゴジラに共通して言える、グラフィックと音効の圧倒的クオリティは本作でも健在。王の誕生、王座奪還、共闘後の和解と別れ。それぞれの作品でキメの画があり、息を飲むほどに美しい。
今までは、世界観の中に論理性が存在したが、本作の地球空洞説は少し飛躍していた感。コングの武器がちょうどはまる場所があったり、空洞内に太陽レベルの光量を発する何かが存在したりと、かなり都合よく描かれている印象。なんか、現実世界の延長だった世界観が、まるっきり別世界になった感じ。
それから、モナークとか、世論とかがあまり描かれなかったのが残念。ゴジラが暴れた理由が周知されたのか、エイペックス社のその後はどうなったのか、など。社会の側の視点が今作ではあまりにも欠如していたかなぁ。エイペックス社の秘匿作戦を覗き見ただけなんだよね、結局。社会全体を巻き込むゴジラの話が、かなりスケールの小さな話のように感じられてしまい、どこか空虚に感じられたのは、論理性の欠如による非現実感と、社会と結びつかないストーリー展開から来るものなのだろう。
田島史也

田島史也