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灼熱/灼熱の太陽のryodanのレビュー・感想・評価

灼熱/灼熱の太陽(2015年製作の映画)
4.3
民族というものを考えされられる作品でした。今まで平和に暮らしていた社会に突如線を引く事で起こる軋轢。今まで何でもなかったのに降って湧いたように、自分達との「違い」をのべつ幕なし生活の中に並べ立てる。やがて「違い」がいつしか「不平」に変わり「紛争」へと発展していく。リアルタイムのニュースでは理解しづらかった。作品の手法も同じ俳優が違う役を演じる事で見ている側も、どちらの民族を演じているのかが一瞬混乱する仕掛けになっている。それだけ曖昧な線引きなんだと思う。色々知りたくてオフィシャルサイトを見ていたら興味深い記事があった。

■以下、オフィシャルサイトよりコピペ
クロアチア人とセルビア人は、入り乱れて暮らしていた。クロアチア人だけの村やセルビア人だけの村があったわけではない。通りの両側に建つ家々について、ここはクロアチア人の家、ここはセルビア人の家というのを村の人たちはみんな知っていた。しかし、それであからさまに差別するようなことは1991年の分離独立運動まではなかった。誰がクロアチア人で、誰がセルビア人かを人々はどうやって区別していたのだろうか。日本人にはあまりなじみのない「民族」であるが、自分がどの民族であるかは自分がどう認識するかによって決まる。旧ユーゴスラビアでは、10年ごとに国勢調査が行われていたが、その調査項目の中に「あなたは何人ですか」という質問があった。選択肢として、クロアチア人、セルビア人、スロベニア人などが用意され、その他という選択肢もあった。その質問にどう答えるかが何人かを決めたのである。
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