ビスコンティ監督の退廃的な作品、ナチスの台頭を背景にした『地獄に堕ちた勇者ども』や、リリアーナ=カヴァーニ監督の『愛の嵐』(これもナチスのコスチュームでヌードも披露した)を思うと、感慨深い。
そのシャーロット=ランプリングが出ずっぱりで、ほぼ主役夫婦の会話で成り立つ映画。あいかわらず、美しい立ち姿だ。
70台夫婦のベッドシーンまであるが、風景を含め、気品のある映像だった。
しかし、ランプリング自身は、二人の男性と同居してたり、パートナーと10年以上婚約関係を続けていたりで、「スキャンダルの女王」として名を馳せた女優だ。
感情的な爆発はないが、目の動きや表情で見せるうまさ。
子供はいないが、45年間ずっと暮らした夫婦に起こる「さざなみ」(原題は45years)による緊張感は最後の最後まで途切れない。
ラストのランブリングが見せる表情もすばらしい。
設定も、相手役が『長距離ランナーの孤独』主演だったということも、すばらしい。
ずっと記憶に残る映画だ。