スマイリー

牡蠣工場のスマイリーのレビュー・感想・評価

牡蠣工場(2015年製作の映画)
3.5
「観察映画」を提唱・実践している想田監督の最新作。監督自身は現場で観察し、観客もまた映っていることを観察して自分で何かを発見してほしいということだそう。
岡山の牡蠣工場の実状が観れるのはまず面白い。震災の影響が東北から離れた場所の、しかも田舎の牡蠣工場にも及んでいる。それに働き手の不足、それに伴う外国人労働者の受入れ、言語コミュニケーションの問題。
会話、特にちょっと毒のある会話なんかは、数日徹底的に密着しないと観られないもの。テレビのドキュメンタリーでは、撮れなかったり放送されなかったりするだろうから、こういうのを見せてくれるのもさすが。
私は選挙、選挙2、Peaceをすでに観ている。ドキュメンタリーの醍醐味、特に想田監督の映画といえば、こんなのがとれるなんてという偶然に居合わせて撮れてしまうところ。今回もそれがある。確かにある。あるんだけど、これ、何かそれを通して見えてくるものはあるかなあ。読み取ろうとすればあるのだが、ピンとはこない。少なくとも、これまでの映画よりは。
全体に、牡蠣工場の日々の生活を見れるいい映画ではある。確かに、田舎の町工場と一括りにして、何となくのイメージで片付けてはいけないと強く感じたし、観てよかった。ではそれ以上のもの、映画的なものがあったかといえば、うーん、これまでの観察映画に比べたら…
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