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ジェイソン・ボーンのスマイリーのレビュー・感想・評価

ジェイソン・ボーン(2016年製作の映画)
3.5
ボーンシリーズの中では、『ボーン・アルティメイタム』が傑作。映画とは運動であり、映画とはカットの連なりである、を地でいく映画の中の映画だと思っている。
そして二作目以降の、ポール・グリーングラスによるアクション演出は、色んな映画に影響を与えている、というか真似されてるのは周知の事実だろう。下手なフォロワーももちろんいて、何が起きているのかさっぱりわからない、カットの割りすぎで臨場感が削がれる、といった具合に陥ってしまったものもたくさんある。マーク・フォースターなんかがそう。
さて今作、正直、下手なフォロワーと同じ道を辿ってしまっているところも多いように思う。何がどうなってるのかさっぱりなんてところが結構多い。見せ場のところにこれは顕著でしょう。これはどこから撮ったカットなのかとか、誰目線のカットなのか、とか考える間もなく、次々とカットの畳み掛け。もう何が何やらという感じ。
脚本も、テロ対策とプライバシー、人権の問題は、結構掘りがいがある内容。一概に、プライバシーの名の下に人権の(一部の)制約を一刀両断で否定できないという考え方も説得力を持たざるをえないこの時代、あまりに表面的なところに止まってしまったなあという印象。これには続きがあるのだろうということで次回に期待する。
他にも脚本も気になるところがあるけれど、アクションにも苦言はあるけれど、でも私はこの映画を好きだ。
この映画の魅力、それはなんてったって、やりすぎなアクションでしょう。カメラ揺れすぎ、カット割りすぎで何が起こってるか分からないのも込みで、これもこれであり!という変なスイッチを押された。カーチェイスはニヤニヤしながら、何なら声もあげながら観てしまいました。
ボーンシリーズといえばアクション。アクションが面白ければそれでいいじゃないかというのが結論。
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