リップヴァンウィンクルの花嫁は大人のお伽噺でした
無垢な女の子が、メフィストフェレスにいざなわれて、地獄めぐりの旅をします
その道中をハラハラドキドキしながら見守ります
内気で話しべた世間知らずの、あのヒロインの設定を受けつけない人も多いと思いますが、僕は好きです
話の仕掛けで見せていく映画ではありません
映像と音で、感覚を、心を直接揺さぶる映画です
話の内容は全く違うのですが、僕は、テレンスマリックの『天国の日々』を思い出しました
物語に仕掛けはありませんが絵画的な美しい映像と音楽で心を揺さぶります
リップヴァンウィンクルの花嫁にも、こころに残るショットが幾つもありましたよね とても美しいショット 陶酔して魅入ってしまうようなショット
それにしても黒木華の芸域の広さ、感度の良さ
綾野剛のメフィストフェレスぶり、不気味さ
Coccoの儚さ
夫の実家を追い出されて大きな荷物を持って雨の街をさまようシーンで、『私ここがどこかわかりません 廃人になってしまったのかもしれません』
あそこの悲しさは人間なら誰しも陥るかもしれない不幸のどん底で、こんなふうに人の不幸を描ける才能に驚嘆しました