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コンカッションのRiNのレビュー・感想・評価

コンカッション(2015年製作の映画)
4.2
『現在進行形の悪夢の話』

NFL、ナショナルフットボールリーグ、俗に言うアメフト。アメリカでは国民が馬鹿みたいに熱狂し、馬鹿みたいな大金がつぎ込まれ、馬鹿みたいなお祭り騒ぎになる、言わずと知れた国民的スポーツです。
そんなスポーツの花形選手が、なんだか次々アルツハイマーのような症状で苦しみ、早々に亡くなっている。そんな例の一人である遺体を鑑定した解剖医のベネットは、その症状から、1つの悪夢を発見します。

アメフト、ピンとこないんですが、2000億の市場規模ってのはつまりは「千と千尋の神隠し」級のヒット作が10本束になっても太刀打ちできないくらい、と考えるととんでもないですね。人口もありますけど、一年で、ですからね。とんでもない。そりゃハーフタイムショーでレディガガも歌うわ。
そんなめちゃくちゃ一大ビジネスなエンターテイメントに、このスポーツ続けてると早死にする上に晩年スゲー苦しむよって言っちゃったお医者さんのお話なわけです。しかも現在まだこの問題解決してない。一応の和解は見たらしいんですが、この映画の公開にビビって取って付けたくらいのものらしいです。そう、そうなんです。全米がビビるくらいに良い映画だった。

この映画でね、わたしはウィル・スミスを見直しました。なんてったって発音。ウィル自身はアメリカ出身のバリバリメリケン野郎ですから、しかも元ラッパー、ファニーでナウいアメリカンイングリッシュスピーカーです。そんな彼が、ナイジェリア移民であるベネット医師の、巻いたような発音を完璧にトレースして見せたわけです。これがね、後半効いてくる。グッときますよ。
「ミスターじゃねえ、ドクターだ」
ってキレるシーンのDr.の発音ね、ウィル・スミスって演技派だったんだ!って鳥肌立ちました。今までの作品で一番好きなウィルです。

何かの陰謀かな?ってくらい上映館少ないですけど、これ本当に良い映画です。見たって。
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