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凱里ブルースの10000lyfhのレビュー・感想・評価

凱里ブルース(2015年製作の映画)
3.0
刑期を終えた中年男性医師が、弟に虐待され売られた甥を連れ戻そうとする旅先の地方で、現在と未来が交錯、大人になった甥に出会う。中盤から終盤の、バイク -> 車 -> 裁縫業者 -> 渡し舟 -> 吊り橋 -> 美容室 -> 野外ライヴと続く、約 40分の長回しが驚異的で、そこだけが際立って印象に残り、称賛されそうなレヴェル。場所の移動を伴う長回しは、入念に選定されたロケーションでのみ可能なので、非現実感が加味される。その非現実感に時間の歪みを暗示させるのが、この 1箇所にのみ長回しが使われた、コンセプト的な理由だろう。そう理解しても、映画の受容感覚として全体との不均衡さがあり、意地悪くとれば「単に長回しやりたかったん?」な感もする。他にも、家の壁があるべき場所を地下鉄が通過したり、ラストですれ違う貨物列車上の時計グラフィティがパラパラ漫画したり、幻想的シーンは印象に残る。劇伴はほぼ無し。ソースミュージックのバンドも、飛び入りで歌う主人公も、アマチュア設定とはいえもう少し上手い方が。。
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