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日本で一番悪い奴らのRのネタバレレビュー・内容・結末

日本で一番悪い奴ら(2016年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2016年の邦画。

監督は「孤狼の血」の白石和彌。

あらすじ

大学時代に鍛えた柔道の腕前を買われ、北海道警の刑事となった諸星要一(綾野剛「パンク侍、切られて候」)は、なかなか業績が上がらない中、先輩刑事の村井(ピエール瀧「サニー/32」)から「S(スパイ)を作れ」というアドバイスを受け、裏社会の人脈を築く中で瞬く間にのし上がっていく。

Amazonプライムにて。

なかなか評判良かったので、鑑賞したかったのだが、なんつっても白石監督があの「ぶっこむ」でお馴染みの「凶悪」だったので、なかなか食指が動かず…。

けど、プライムにあったので、遂に鑑賞しました。

「凶悪」よりはまだ気持ち的な軽さはあるけど…やはり、お、重いー!!そして後味わりぃー!!

話は綾野剛演じる諸星が道警に配属される場面から始まる。

過去に犯罪を起こしたことがあるってことだったけど、序盤は体育会系上がりの実直な青年って感じなんだなぁ…と思ったら、今作における「メフィスト」的存在でもある村井にアドバイスを受けるとその実直さが悪い方向へ一直線。

なかなかに手荒い手段を用いながら(令状なしに単身乗り込むって今なら絶対無理だろうなぁ)、数ヶ月で頭角を表す。

嵌められた村井のあっさりの退場は予想外だったが、「世代交代」を果たしのし上がっていく諸星。

そんな地固めに成功した彼の元には「ファミリー」となる奴らが集まってくる。

彼の一番の舎弟ともなる太郎を演じたYOUNG DAIS(「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」)はやっぱり好きな役者さんだなぁ。デビュー作の「TOKYO TRIBE」から出演本数こそ少ないものの、今回もヤクの売人ながら人懐っこいというか優しい声音が心地いい「いい奴」感が印象深い(だからこそ、その結末に胸が締め付けられるが)。

あと、個人的にはあんまり好きじゃないんだけど、中古車ディーラーでロシアとのパイプ役のラシードを演じたお笑いコンビ「デニス」の植野行雄も感じが出てて良かった。

あと、主要人物ではないんだけど、諸星の上司の岸谷を演じたみのすけ(「返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す」)もその見た目と嫌味ったらしい声音から、やな奴っぽいイメージを持たせながら、諸星の功績を褒め称え、割と最後まで暴走気味な諸星を見捨てず、諌める役で(まぁ、巻き込まれた感はあるが)、もう1人の猿渡(田中隆三「疵と掟Ⅱ」)とは大違いでポイント高かった。

そんなファミリーに囲まれ、銃器対策課に異動した諸星はかなり反則的なやり方で銃の摘発に乗り出すんだけど…。

摘発してねー笑!!この業界では身元不明で押収された拳銃のことを「首なし」っていうんだけど、ほぼほぼ首なしか、買ったやつで。でも、それでいいんだね。大事なのは、どれだけ対策課として銃を入手し、ノルマを達成するかで、ここら辺はセールスマンのそれとなんら変わりない。

だからこそ、劇中、唯一と言っていいほどの常識人である漆原次長(勝矢「50回目のファースト・キス」)の「え?買うんですか?」などのリアクション含めた会話&会議シーンはマジで面白かった。

もはや何が正しいのか笑、「正義」ってなんだ??

でも、こういう成り上がりものって栄華を極めた後って、衰退が待ってるわけで、太郎の結婚式でファミリーに囲まれて、諸星が熱いスピーチをかますシーンがピークで、後はある仲間の裏切りによってどんどんと堕ちていく。

その様はやはり見ていて心苦しいし、「凶悪」同様後味は悪い。

けど、諸星はやり方こそ間違っていたものの自分なりの正義を追求した結果だと思うと、なんか切ない。

とりあえず、綾野剛やり切ったな!!凄い作品でした。
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