Masato

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のMasatoのレビュー・感想・評価

4.3
劇場2本目

2017年初は君の名は。
実質これが2017年初ということで。

観てない人に端的に伝えるならば、「シンゴジラ」と「ドローンオブウォー」を組み合わせた映画と言っても良いと思う。

アンドリューニコル監督作のドローンオブウォーとの違いは、1人の操縦士の心情や内面を通してドローン戦争の恐ろしさを伝えていたが、今回の「アイインザスカイ」は一つの作戦をリアルタイムに描き、誰1人として背景を描くことはなく、個人的な感情移入は排除してあくまでも軍事上の意見だけで物語が進む。個人ではなく人間としての心情だけが描写される。
それが、操縦士よりもその上の指揮官などの問題がよく反映されている。

映画としての盛り上げ方も非常に秀逸。
細かな部分で物語の舞台を説明していく。これが結構わかりやすい。
物語が進むごとに徐々に盛り上がりを見せ、ラスト終盤ではまるでスリラー映画かのような息もできない展開が待っている。

オバマ政権からドローン戦争が顕著に増えてきて、今ではテロリストの対処はドローンが主になってる。
ドローン戦争自体を批判するということもあるが、あくまでも決断する人間への批判に思えた。
劇中に出てくる政治家はどれも責任感のない人達だった。みんなは自分に責任が取られなければどうだっていいという感じ。犠牲者などのことを考えていない。それに対して、軍人は責任感のある人たちばかり。
危機的状況を決断すべき人はやはり「戦争の代償」を知っている軍人が尤もであるということ。
その決断する状況を作っているのは、ドローンで遠隔操作が可能になっていることが一番の要因である。
結果的に、ドローン戦争への批判へと繋がるようになっている。
政治家を悪いように言っているが、もし自分がこうした決断を迫られると思ったら政治家と同じように他人に責任を押し付けるだろう。
こんな決断の重圧に耐えられる自信がないからだ。
まるで戦争が前提として言っているが、当然戦争に正義はない。

現状の戦争に警鐘を鳴らすとても時事的で素晴らしい映画。

どちらの決断も正しくはない。だが、決断しなければならない時がくる。
Masato

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