ニャーニャット

映画 聲の形のニャーニャットのレビュー・感想・評価

映画 聲の形(2016年製作の映画)
3.1
松竹映画でこんなに客が入ってるの久しぶりな気がする(笑)
『君の名は。』が同時期上映じゃなかったら、こっちが100億越えしてたかも。

『君の名は。』は写真のトレスやそれに近い手法により実写にも匹敵する情報量を獲得し、レンズのハレーションやフォーカスの表現によって、実写映画に近いアプローチから印象派的な表現を実現しているのに対して、『聲の形』に関してはどこまでも正統派なアニメ的アプローチから印象派的な表現を実現してる。
精神的な負い目から人の顔が直視できない将也の視点からは、周りの人の顔が黒塗りで見えなくなっているのは言うに及ばず、花火のシーンの表現など非常に印象的。

ただこの映画、障害者の女の子とその子を虐めてた男の子の和解を描いてるんだけど、どうしてもひっかかるのが、結局この障害者の女の子が可愛いから成立してるんじゃないか…ってことなんだよね。
大半の虐められてる子はこんな美しい解決など現実に望めるはずもなく、本人の中で時間の解決とともに整理していってるに違いないわけで。
この映画を観て救われるのは虐めを受けてる方ってより、虐めを過去に行って悔いてる方なんじゃなかろうかと。
まぁ、恋愛映画と一緒で、虐められてる側もあの可愛い硝子に自分を投影できるのかもしれないし、そういった和解を遂げられなかった人がこの映画を観てフィクションの中だけでもそれを達成してスッキリ!ってなこともあり得るのかなぁ。