みーちゃん

ウィッチのみーちゃんのレビュー・感想・評価

ウィッチ(2015年製作の映画)
5.0
悪魔が登場する作品はたくさんあると思うけれど、改めて"悪魔と契約を結ぶ"という概念が、とても興味深かった。

憑依したり支配するだけなら、双子や弟は容易に手に入るが、契約を交わすには双子は幼すぎる。思春期手前の弟は、悪魔目線でぞくぞくする瞬間はあるものの、まだ青すぎる。自分を疑うことや絶望感を知らない。だから、あの森の中から、あの一家を見つめたとき、トマシンが際立つ魅力を放っていることに説得力があった。

話を広げず家族だけに焦点を絞ったのも良い。共同体を離れ、原野で暮らし始める前から、既に彼らは手中にあったのかもしれないし、そんなことは関係なく、現実問題として、あの厳しい生活環境に追い詰められた結果なのかもしれない。

いずれにしても毒親なりに保たれていたバランスが崩壊し、心の中で思うだけではなく、言葉に出した瞬間、次のフェーズに進んだのが、はっきり分かった。

ラストのシークエンス。とても複雑な感情になった。恐怖や諦めみたいなものはない。でも高揚感や自己肯定感、安堵とも違う。これまで起きたことは全部仕方なかったのだ、なるべくしてなったのだ、と思えた。

そして裸の儀式を見たときに感じたのは"融合"だった。嗚呼、今から、私もこの中の一人になるんだな、と何の邪心も抗いもなく、ただ、そう感じた。