まりぃくりすてぃ

ウィッチのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

ウィッチ(2015年製作の映画)
4.8
落ち着きのある賢い騒がしさに、王道エンタメホラーなヤケクソ感もほどよく混じってて、最後まで退屈させませんでした。

ヒロイン・弟・「双子」・父・母───五者の愛憎相関図に、悪魔やブラック・フィリップスが時々絶妙乱入。この極上のバタイユ・ロワイヤルは、善悪単純二元論(悪魔 対 神と人)に食傷してる“リアルファイト”好きな優良映画ファンには、ちょっとした闇色ホールケーキのおいしさ!
五人五様の文句ないキャラ立ちでしたが、特に弟ケイレブくん役(ハーヴィー・スクリムショウ)の仰臥体勢での大熱演は、「人の顔って、顎の方から見つづけるとそれだけで極上ホラーなんだ!(?)」と気づかせてくれる優秀さ。そこ本作のハイライト筆頭かも。

終盤のヒロインの正当防衛シーンの「偶然落ちてた反撃用刃物に手が触れて……」のベタさは、唯一の大失点箇所。でも、大量の返り血が血であるよりもミサ時の葡萄酒っぽかったのは、宗教映画の面目躍如?
ヒロインと母の顔立ちが似てなさすぎなのは、ひょっとして継母説の余地を残そうという配慮?
その長女役(アニヤ・テイラー=ジョイ)は個性的な可愛さで本作の“観やすさ”にもちろん大貢献してました。唇が端整な人。

神なんているわけないじゃん、と宇宙の本当のおごそかさを理解できている完璧現代人の私としては、「いつから狂気?」に「ファーストシーンからでしょ」と正答できるのが誇らしいような淋しいような。。。。