じぇいらふ

天使の影のじぇいらふのレビュー・感想・評価

天使の影(1976年製作の映画)
3.8
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選3作目は、、、ファスビンダーじゃなくて『ヘカテ』『トスカの接吻』のスイスのダニエル・シュミット監督作品。なので前2作品とは全然雰囲気違います。独特のセリフとリズム感、人物描写、、、すっごく不思議感満載な作品。

ファスビンダーの戯曲の映画化。ファスビンダー本人が、がっつり役者でも出てます。なんか良い役者ぶりだぞ😆
撮影はレナート・ベルタ、、、相変わらす控えめにいって最高です✨👍

🎞️ある橋の下はいわゆる、、、娼婦達の待機場。次々とやってくる男達。ああだこうだ言っては次々女性を連れ去って行くが、、、ちっとも選ばれない女性が一人~はじまり

📖娼婦のリリーは、いつも選ばれず取り残される。家に帰ればヒモのフランツに金をせびられ、なじられる日々。ある日、ひょんな出会いで裏社会の大物ユダヤ人に見初められるのだが。。。というおはなし

ファスビンダー監督作品は結構ストーリーわかりやすい作りなのですが、今作はダニエル・シュミット、ややわかりづらいです。。。いやそもそもファスビンダーの戯曲がわかりづらいんかな?娼婦達が次々になんだか詩的なセリフを吐いてく。登場人物達もなんだか皆んな変わっている。最初ちょっと掴みづらいかもしれません。自分2回見てやっと大枠わかりましたが、、、それでも色々わからない笑

でも魅力的なのはなんといっても主役のリリー:イングリッド・カーフェンの存在感。あの大きな目とほとんど表情のない、生きてるのか?幽霊なのか?わからない危うい感じがいいですね。幸薄い感。シュミット作品ではおなじみの女優ですね。

ファスビンダー監督がヒモのフランツ役を好演。「🚀はでかかったのか?」「よかったのか?」等々、嫉妬に狂ったクズヒモぶりを実に楽しそうに演じてます。自分で書いたセリフとはいえどうだったんだろ?笑

ユダヤ人親分が戦後のドイツ人を牛耳っていく感じは、ファスビンダーの自虐的な戦後ドイツ観炸裂ですかね。

この作品ストーリーよりやっぱり、映像的な瞬間瞬間が魅力的です。ポスターにもあった、リリーがのけぞるシーン。何度か繰り返されますが、動きとか観ていて美しい瞬間。『ヘカテ』でもあった、女性がふりかえる瞬間とか。
撮影レナート・ベルタのもっともすばらしいシーンは、、、やっぱりリリーが死を望む夕焼けの広場。この光線の尋常でない美しさ!!これだけで腹一杯笑。

なので、、、結構おはなしとしての後半の戦後ドイツ権力社会の闇的なところは、、、ああそうなのね~位な感想です。(時折出てくる俯瞰で眺めるキャメラはいいですね。)あとは、、、ひたすら、ん??と混乱する細部の瞬間を楽しみましょう。いきなり止まって歌とか。天使👼いた?!とか、、、🤣

今回ファスビンダー傑作選面白かったので、他も観てみたいと思いましたね。
次はダニエル・シュミット傑作選もやって欲しいです。