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ロープ/戦場の生命線のfujisanのレビュー・感想・評価

ロープ/戦場の生命線(2015年製作の映画)
4.2
今年観て良かった映画のTOP5に入る映画でした。

場所はバルカン半島のどこか、としか出てきませんが、おそらく内戦直後のユーゴスラビア。民間の国際援助団体が孤軍奮闘する話。

とある村の井戸に投げ込まれた死体を除去するためにロープを探し求めるという、それだけの話なのですが、ベニチオ・デル・トロを中心に名優たちの会話劇が見事です。

登場人物はベテランのおじさん2人と通訳1人、血気盛んな女性たち2人と地元の少年1人。

死体を見て夜眠れなくなった新入りメンバーにはウイスキーを渡し「過去も未来も考えるな、今のことだけを考えろ」と語り、現地で生きていく少年に対しても、むやみに甘やかさない。とにかくデル・トロが渋いです。

ティム・ロビンス演じるもう一人のおじさん、ビーは終始くだらないジョークを言ってますが、映画後半になると、こういう親父ギャグも場を和ませるには大事なんだなと思わせられるので不思議です。

細い道の真ん中に牛の死体があったり、現地民兵が勝手に検問をしていたりと、想定外の事態ばかり起きる現地ではマニュアルや教科書は役立たず、結局はおじさんの経験が活きてきます。

ただ、おじさんはおじさんでくだらないジョークばかり言ってるし酒癖も女癖も悪いしで、特にヒーローは居ませんが、なんとなく気持ちがほっこりする、とても良い映画でした。

多分、また観ます。
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