dm10forever

シング・ストリート 未来へのうたのdm10foreverのレビュー・感想・評価

4.0
【似て非なる兄弟の物語】

久々にしっくりきた青春映画だった。
ラフィーナとコナーの恋模様をメインに描かれているようにも見えるけど、実はお兄ちゃんとコナーの深い絆の物語でもあった。

コナーを取り巻く様々な環境に対して、彼は曲を作りそれを歌うことで昇華していたけど、実は常にそこにはお兄ちゃんがいた。
彼はコナーの曲作りだけではなく、道に迷いそうな悩み多き青春期の、いわば道標のような存在。
一見すると怠惰で粗暴なイメージのお兄ちゃんだけど、彼が家族の中で一体どんな思いで過ごしてきたのか、それが語られたと時は胸が締めつけられる思いだった。兄弟の一番上って、少なからず似たようなこと感じてるんだよ、うんわかるわかる!って。

この作品の主人公はコナー少年かもしれないけど「人生の主人公」は、まさにそれぞれの人間なのだと改めて思い知らされる。

以前観た「キセキ」ともどこか似たようなプロットだけど、決定的に違うと思った点はそこだった。
自分のできたこと、出来なかったことを弟に投影し、羨ましくも全力で応援するお兄ちゃんの姿に胸が熱くなるのだ。

ラスト、コナーとラフィーナは小型ボートでロンドンへと出発する。不安と希望が入り交じった、まさに若い二人の大冒険の始まりのシーン。
「やったぁ‼️行けー❗️」
ジャンプして喜ぶお兄ちゃんの背中が印象的だった。
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