ぬ

パターソンのぬのレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.8
初ジム・ジャームッシュ。
パターソンという街に住むパターソンという男性の一週間を眺めているような感じで、淡々として特に大きな事件もないんだけど、心地よい映画だった。

「詩」がポイントになっているだけあって、映画そのものが詩のようだった。
パターソンの毎日の生活ルーティンの連続が反復法のようで、その生活の中に現れる、詩、双子、滝、お弁当、ポスト、などなどデジャブのように散りばめられたモチーフがまるで韻を踏んでいるようで、そのリズムが心地よかった。
毎日起きる小さな事件のワクワクと、反復するルーティンの安心感のバランスがいい塩梅。
一番、二番…の定型があって、韻を踏みつつ変化があって、サビがあって、余韻があって、詩のような歌のような、独特の美学が面白かった。

犬が可愛くて、平凡な街の景色が美しく、ささやかな日常が愛おしい、そんな感じが、アキ・カウリスマキ監督やオタール・イオセリアーニ監督の映画を観ているときの穏やかな気持ちに似ていて、好きな感じだった。

なんだかこの映画を観に行った自分自身のその一日も詩になりそうで、少しワクワクできるような映画。(「少し」ってところがいい)
&、詩を書いてみたくなる。

ジム・ジャームッシュ監督の映画をもっと観てみたい。
ぬ