⚪概要とあらすじ
『ブロークン・フラワーズ』などのジム・ジャームッシュが監督を務め、『沈黙 -サイレンス-』などのアダム・ドライヴァーが主人公を演じたドラマ。
ニュージャージー州パターソンでバスの運転手をしているパターソン(アダム・ドライヴァー)は、朝、妻のローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをすることから始まる、変化のない毎日を過ごしている。そんな日々の中でパターソンは、周囲の会話やマッチ箱といった何げない物事に着想を得た詩をノートに書き留めていた...。
⚪キャッチコピーとセリフ
“毎日が、新しい。”
「詩の翻訳はレインコートを着てシャワーを浴びるようなもの」
「お前なんか嫌いだ」
⚪感想
優しい空気感と心地良さを感じる作品。
詩の使い方が程よく、無駄使いのない詩的な作品。
全体的に黒や暗めの青が使われているけど物語としては暗くなく、太陽の光で温かくほんわか明るい。
日常の作品でありどこか遠く感じる作品でもある。
ゆったりのんびりなのにつまらなくならず、どこか不思議な感じ。なんでだろう。
目覚まし無しの朝、キス、バスの中で詩を書く、会話、傾くポスト、夕食、散歩、バー。
一つ一つが丁寧。
ブルドックのマーヴィンが軽くムカつくんだけど憎めない。
お前だったのか!!お前ってやつは!!って何回かなるんだけど動きと表情の愛くるしさに心を殺られる。
パルム・ドッグ賞を受賞しただけある。
アダム・ドライバー演じるパターソンはとにかく良い人。全然怒ったりしなくてこの人ストレスどうしてるの?って思っちゃう。詩を書くことで発散してたのかな。
たまにニコって笑うのが癒される。とにかく奥さんのローラと愛犬のマーヴィンに振り回されていたような。
アダム・ドライバーはいつもなんか理不尽にやられるというかしょんぼりする役が多い気もするけれど繊細さがあって観ているこっちにすんなりと感情が伝わってくる。
ハマり役。
パターソンとローラのような夫婦って凄くいいなぁって。嫌だって思っても不貞腐れるんじゃなくてふわっと許して包み込んでくれている。
みんながみんなできることじゃないと思う。
バーのオーナーだったり、同じ会社のドニー、10才の少女、ロミオとジュリエットのようなエヴェレットとマリー、コインランドリーのラッパー、ブルドックが誘拐されないよう伝える若者、バスで会話する子供や若者、老婆、日本人の詩人。
全ての登場人物が何故か濃く印象に残る。
日本人の詩人が永瀬正敏さんだったのが驚き。渋くてかっこいい。
繰り返される毎日だけれど同じ日は決してなくて新しい毎日。
毎日毎日が美しくて観終わったあとに何故か涙が出そうになる。
別に何が起こるわけでもないんだけどそれが返って美しくてキラキラしている。
辛くなった時にまた観て浄化されたい。
こういう作品もあるんだ。
⚪以下ネタバレ
最初に観ていて、主人公がよそ見をしていてバスの事故とか起こしたり、ブルドックが連れ去られたり、奥さんが家を飛び出したり、主人公が怒ったりとかあるのかなと思ってたら全然なかった。
それがまたホットするというか心がギュンってなったりしなくてずっと観ていたくなる秘訣なのかな?
バスの故障と秘密のノート噛みちぎりたい事件はヒュンってなったけども。
ポストを傾けさせている犯人がマーヴィンだったのは笑ってしまった。
しかも散歩の時めちゃくちゃ引っ張るじゃん。こっちって言ってるのに逆方向で結局パターソンが根負けしてそっちに行くって言う。
ほのぼのしてるな。可愛い。好き。
たくさんのシーンで双子が出てくるのも味わい深い。
⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。