るる

ドラえもん のび太の太陽王伝説のるるのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ぼんやりテレビで見た覚えはあるんだけど、改まって見たのは2018年、アマプラで。

わかりやすく『王子と乞食』オマージュ、そっくりなふたりが入れ替わる、むしろ『ふたりのロッテ』を連想してしまう、双子が入れ替わる推理小説なんかを連想してしまうんだけど、そうじゃなくて、身分の違う二人が、この設定を活かした有名フィクション、他にどんなのがあったかしら…手塚治虫…? 思い出せない、もどかしい…

呪う女、呪われる母王、ディズニーっぽいなとか思いつつ。『ラプンツェル』の冒頭とか。女を呪う女の描き方、取り巻く男たち、もっと突き詰めていける題材だと思うな。

タイムホール。タイムマシンとは違うの? というピンとこなさがあるんだけど、異世界へ行くキッカケとしては比較的自然、かな。ポポルが不思議生物すぎて、どう解釈すればいいのかわからないのがもったいないんだけど、マヤ王国を思わせるのは面白い、太陽信仰、卑弥呼の国の者としてはワクワクできる。

ティオ、王子さま、しずかへの暴言を暴言として描いているのはいいんだけど、フォローが足りなくて物足りない。

のび太の為政者として慕われる采配、王子っぷりはわりと好き。悪習を撤廃していく王、応援したくなるし、気持ちがいい、面白い。

ただ、ククにあやとりを教える、それがキーになる、あの演出はイマイチ好きになれなかったな。『宇宙開拓史』ではそこまで感じなかったんだけど、日本人が東南アジアやアフリカの子供達と交流しに行って日本の遊び・あやとりを教えてあげた、みたいな話を連想して、モヤっ。

あやとりって確かに、糸さえあればどこでだってできる手遊びで、高価なサッカーボールを買えないような子供でもできる遊びなんだけど、そこまで有難がるような、子供達を魅了するような遊びでもないでしょ…という。
のび太の特技とはいえ、そこまで特別なものとして描かれると、異文化交流の描き方としては雑に感じるかな…遊びを教えあうとか、編み物などの女性特有の文化がある中で、女の子にそういう遊びを教えることで独自の発展をする、そこまで描くなら面白いんだけども。

イシュマルを先生と慕い、棒術を習うジャイアン、いいなって。乱暴者のガキ大将がが武道を習う展開は子供向け映画として良いよな。

女装するのび太、サカディに助太刀、面白い。ただ、「イチたすイチはイチより小さくなるとは、僕は思わないっ」良いセリフっぽい、ここがテーマとばかりに繰り返す、ちょっとくさい、くどい感じがする。ティオの王としての問題点はそこなのか?という疑問もある。

後半の戦いは正直、ダイナミックさに欠けて、大失速したな…という印象。演出の問題かなあ。もったいない…

悪役に女を配役しておきながら、中途半端に弱く描かれてると腹が立つんだよな。そういう意味でも物足りなかった。ディズニーの迫力あるイメージもあるんだけど、単純に魔女が好きということもあり。現実社会における巨悪は大抵男性なんだから、現実の巨悪を倒す夢を描かないなら、女を巨悪として描く、そういう夢をきっちり描く気概でやってほしい。

嫌いじゃないけど、物足りない。そんな作品。つれづれ。
るる

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