Ren

SING/シングのRenのレビュー・感想・評価

SING/シング(2016年製作の映画)
4.0
今年、配信で初鑑賞。コロナ禍前にUSJへ行ったとき、元ネタも分からず『シング・オン・ツアー』を体験したことを思い出しました。座組みが完全に私得だったため、吹き替えで。

めちゃくちゃ面白かったです。大ベタも大ベタなのだけど、大ベタをこのクオリティでやってのけることのできる映画が何作あるのかという話。『マダガスカル』から『ズートピア』までに共通することだけど、デフォルメされた動物たちが生き生きと動き回る快楽はCGアニメーションだからこそ。

世にも分かりやすい「夢」と「挫折」のお話。自分の夢を叶えたい!の他に、自分を馬鹿にした奴らを見返したい!が原動力になっているキャラクターもいるのが良かったです。成功のきっかけは何でもいい。
そんなに上手くいくかよと毒づきたくもなるキラキラなステージなのだけど、一貫した「音楽は素晴らしい」の蓄積と爆発が上手い形で活きているので、これならこういう結末になるかも、と力づくで納得してしまう。
洗車のシーンも良い。子どもにとっては純粋にギャグとして楽しめる一方で、人生の道を断たれた大人は文字通り体を張って稼ぐしかないという切なさがそこにあります。

Elton JohnやQueenからTaylor Swift、Carly Rae Jepsenまで、古今の名曲をこれでもかと詰め込んだサウンドトラックが至高。『SING/シング』だからこそ叶う統一性の無さ。このおかげで、クラシカルなミュージカルを観るときに少なからず感じるハードルを限りなく0にしています。
白眉はジョニー(大橋卓弥)の『I’m Still Standing』。

『リメンバー・ミー』とかもそうなのですが、やはりストーリー自体が「世の中の99%の人が “音楽は良いものだ“ と思っている」前提ありきなので、こういうウルトラハッピーエンド映画が「音楽」以外のサブカルチャーを題材としたケースでもスタンダードになっていったらいいなぁ。

「こんなメッセージを....こんなメタファーを....こんな社会性を....」とワンフロアずつ丁寧に積み上げながらビルを建築していくのが『ズートピア』のディズニー。
それを横目に、わーいわーいと公園ではしゃいでいるのが『SING/シング』のイルミネーション。このスタジオには永遠に無邪気に遊んでいてほしいです。
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