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ノー・ホーム・ムーヴィーの10000lyfhのレビュー・感想・評価

ノー・ホーム・ムーヴィー(2015年製作の映画)
3.5
晩年の母との、実家での対面による、また 2度のアメリカからの Skype による、対話の記録。長期にわたりアケルマン映画のテーマであった、自分自身や、母との関係の、最終解だろうか。最後の作品を意識して作った節が感じられ、人生のリフレクションもテーマの 1つで、胸に迫る。アウシュヴィッツサヴァイヴァーである母の「最初、彼らは優しかった、その後、少しずつ、状況が変わっていった」(大意)は、現代の私たちにも教訓となる言葉。定点カメラ主体だが手持ちもありの映像の大半は屋内で、随所に象徴的な、風に揺れる木、車窓、撮影者の映る池の水面、山や電線や遠方の都市などの映像が挿入される。母の救急搬送を暗示する、露出過度で白く、揺れも多く、被写体の判別しがたい映像がささる。アケルマンフィルモグラフィを締めくくるのは、両側の奥に部屋の見えるシンメトリックな屋内映像。本作に映るアケルマンはバイタリティ溢れ生き生きとしており、本作完成後まもなくして亡くなったことへの無念さをより募らせる
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